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ElbertとSandgate4について

ソフィアシステムズ主催monoclassフェローシップセミナーにて、お話を伺いました。

Elbert(ARMADA 168)とSandgate4について

さて、本日(2/8)は東中野で開催されたソフィアシステムズ主催monoclassフェローシップセミナーに参加をしております。

正式発表されました、ARMADA 168搭載、Elbert とSandgate 4 につきまして、 株式会社ソフィアシステムズ 開発部 開発二課 課長 保坂 一宏様、営業部 営業三課 河内 出様にお話を伺います。

製品の背景について

本日、改めて拝見させていただきました、Elbert、45x50mm という小さなフットプリントというのが強く印象に残りました。
そもそも、このElbertという製品の開発経緯といいますか、成立背景についてお話を伺えたらと思います。

「そんなに難しい話はないのですが、ソフィアシステムズとしてはインテルのXScale、PXAのころから Sandgateシリーズをずっとやってきております。 そのような形の中で、Sandgate II, III, IIIp, MID などやってまいりました。Monahansまでの評価ボードはCPUおよび周辺のデバイスを評価するためのもので、 携帯電話スタイルのものも含め、完結した製品としてリリースしてまいりました。」

しかし、今回は製品への組み込みを意図したドータボード形式を前提とする初めてのSandgateシリーズ、Sandgate4 を発表されましたね。

「厳密に言えば初めてではありません。携帯電話スタイルのものは開発時に拡張ボードを必要としましたし、 従来のSandgateでも最終製品の組み込みに利用されたものがあります。」

「とはいえ、Elbertはいわば携帯電話のSIMチップのような…というにはやや大きいですが、見えないところに格納されることを前提とした製品、 という位置付けであればSandgateシリーズ初と言えるとは思います。」

なるほど。しかし何故今までのSandgateシリーズとは異なる特色を持つそのような製品を開発されたのですか?

「本日のセミナーでも述べさせていただきましたが、、組み込み機器の開発メーカーは開発期間、製品寿命の短期化、高度・複雑化、コストダウンなど様々な要因にさらされております。 よって、いわゆる『アリモノ』をうまく使うことが求められています。
また、プロセッサの高性能化によって意外な弊害も出てきております。」

プロセッサの高性能化による弊害ですか。ちょっと想定していない視点でした。どのような弊害でしょうか。

「回路設計です。CPUが200MHz、バスが66MHzのころならまだしも、今のMarvell ARMADA 168は、CPUが1066MHz, バスも533MHzです。 これぐらいの性能を生かす設計をするなると、試作も容易ではありません。 下げるのは簡単ですが、低消費電力、高性能という利点を生かすことができなくなります。」

しかし、そこをソフィアシステムズさんのノウハウで切りぬけたとしても、最終製品にする際にはElbertだけではなくシステム全体をその速度にする必要があるのではないのでしょうか。

「そうでもないのですよ。人は1GHzで動けません。映像出力も一秒30枚あれば綺麗に見えます。 人の入力、通信回線からのデータ、映像出力などの個々のインターフェースはそんな速度を求められないのですが、 それを統轄するCPUやメモリユニットにはその速度が求められるのです。Elbertはそれをサポートすることができるのです。」

Elbertの特徴

Elbertの特徴の一つはいままでに出てきた通り、このコンパクトなサイズと組み込みを前提としたデザインがあると思うのですが、 他にも「これは」という特徴がありましたらお教えください。

「機能の特徴ではないのですが、まずはSandgateシリーズで培ったノウハウを投入した製品であることがあげられると思います。 僭越ながら、ソフィアシステムズ内部では『普通』のことでも、あまり開発経験の豊富でない会社さんにとっては『高度な技術』である、 ということがこれまでの経験から言えると考えております。」

「最近ではお客様からの質問のいわば『質』に変化があるように思われるのです。 以前は実装やデバイスなどに関するものが多かったのが、近年ではOSそのものやドライバに関する質問が増えていると感じております。」

つまり、ハードウェアレイヤからソフトウェアレイヤに質問がシフトしている、ということでしょうか。

「そうですね。その背景としては、製品のライフサイクルが短くなり、短納期、少量多品種生産などが求められていることが上げられるのではないでしょうか。
いままでと同じやりかたでは事業が成り立たなくなりつつあるような感じです。」

「例えば最近ではデジタルフォトフレームも多機能でよいデザインのものがどんどん安価に出てきています。 お客様にとっての評価ポイントは例えばデザインとサイズ、そしてお値段といった基準で、機能についてはどれも大差ない …実際、エントリモデルでは内部はそんなに違わないと思いますが…というのが現実ではないかと思います。」

「実際にはElbertをコンシューマ製品に使うのはちょっと難しく、もう少し小ロットで高付加価値のものを短納期、高品質に 使うことを想定しております。」

なるほど、ということはソフィアシステムズ様にとってのお客様、組み込み製品開発企業様の付加価値を高める、という具合になるでしょうか。

「より具体的に言えば、ベースのテクノロジはソフィアシステムズが提供させていただきますので、 その上でソフトウェア、ハードウェア的なテクノロジやデザインなどの付加価値を開発企業様に付加していただき、 最終製品となりエンドユーザに提供される、というようなモデルを想定しております。」

よく分かりました。それでは、実質的にはマーベル様のデザインハウス的な役割を担っていくようなモデルと考えてもよろしいでしょうか。

「公式にデザインハウスと宣言するかは別として、日本でもワールドワイドでもそのような立場になれるように製品を開発していくことは考えております。」

「もちろん、販社のFEさんとは協業という形で協力関係になる形です。」

しかし、他社さんでもこういう形態の製品はあるかと思います。明確な差別化ポイントはありますでしょうか。

「それについては明確です。我々はハードウェアベンダ、つまりマーベルさんとがっちり組んでやっております。他社さんではそこまでやられている例は少ないのではないでしょうか?」

「あとは実績ですね。Sandgateシリーズで積上げた実績とノウハウを詰め込んだ製品となっております。」

ARMADAシリーズの特徴に多様なインターフェースの搭載、ということがあるかと思いますが、このElbertではそのインターフェースの全てを使うことができるのでしょうか。

「ほとんど、出ていると思います。全部でしたっけ?」

「……PCIe は出てませんね。組み込みでは普通使いませんので。あとはほとんど使えると思います。」

いずれにしろ、Sandgate4 + Elbertでカバーできる適用分野は広いように感じますがいかがでしょうか。

「そうですね。液晶画面を使うような機器であれば基本的にはなんでもいけると思います。業務系の高付加価値端末などにはとてもマッチするでしょう。
ただ、数万台作るような場合にはElbertではなく、基盤から起こしたほうが安くなる可能性は高いです。」

「あとは現状ではまだ『開発中』という但書が付いてしまうのですが、NTTドコモさんのFOMA通信モジュールキットというものがあります。
これを利用することでさらに適用範囲を広げることが可能となります。」

「同様にNFC開発キットというものも開発中です。
こちらは、Felica, Mifareに対応しておりますので、現在普及し、広い領域で使われているICカードを認証、課金基盤として用いることが可能となります。」

なるほど、それはさらにElbertの適用範囲が広がりますね。

「いえ、現状では両キットはSandgate4に取り付ける形になります。Elbertには付きません。 もちろん、カスタム開発ということでElbertと接続できるものを弊社で作成することは可能です。」

「この場合、Sandgate4 を用いてソフトウェアを先行開発し、ハードウェアの製作を並行化することになります。 これにより短い開発期間で高付加価値の製品を作ることが可能になると考えております。」

ソフィアシステムズとしてのビジネス

さきほど、カスタムボードのお話が出ました。
そのように、Elbertが出たことでソフィアシステムズ様としての新しいビジネスなどが見込めると思うのですが、どのようなものをお考えでしょうか。

「従来からのビジネスの延長として、Sandgate4をベースとしたカスタムボードという形はあると考えております。
具体的には、LCDなど、表示・入力系統の変更や簡素化または複雑化ですとか、GPSをはじめとしたセンサ類の追加ですね。
そして、それを小ロットでやるならElbert+カスタムボード、ある程度以上の数が見込めるのであれば、 Elbert+Sandgate4は先行試作・ソフトウェア開発用として、量産用は新規にボード作成するようなビジネスです。」

「この製品の開発背景として、先ほど言い忘れたことがあります。それは『小ロットのお客様のサポートができていない』ことです。
リソースの問題もありまして、そのような潜在的なお客様は結構いらっしゃるのですが、マーベル様にしても、 各販社さんでも製作単位が数千ロット程度のお客様へのサポートが充分に提供できていないのです。
スペック的には非常に魅力的なARMADA 100シリーズであるのですが、ハードウェアを試作する上では先ほど述べましたような『壁』があるのは事実です。」

「一言でいえば『お客様の悩みを解決する』ソリューションということになるのですが、そのハードウェアレイヤーにElbertが来ると思っています。
普及活動というと大袈裟ですが、無償の簡易セミナーや、有償では開発環境まで用意させていただいた上での実践的ハンズオンセミナーなどもできればと考えております。
それから、これはまだ考えているだけなのですが、ある程度の数を購入していただいたお客様への実費+α程度での出張サポート、 例えば半日くらいの立ち上げサポートのようなものができないものか、というアイデアもあります。」

「ハンズオンですとか立ち上げサポートなどはまだ具体化しているものではなく、現状ではアイデアに過ぎませんが、 そのようなことをハードウェアであるElbertと共にソリューションとして提供することで、適用範囲の裾野を広げることを考えております。」

今後の展開

本日のセミナーで拝見させていただいたのですが、不具合が発生した時点でEJ-SCATTを接続する『ホットプラグデバッグ』、 これは大変画期的な仕組みではないかと感じました。こちらはElbert+Sandgate4の組み合わせでも実現されているのでしょうか。

「これについては近日対応予定です。それを実現するためにはデバッグ環境であるWatchPointのElbert対応が必要となりまして、 こちらのほうを鋭意開発中です。Elbertの量産体制が整うころには完成しているでしょう。」

「そちらの対応が完了次第、ホットプラグデバッグも同時に実行可能になります。」

では、今回のElbertでは、ハードウェアレイヤーのソリューションを提供することを目的の一つとされているとの認識ですが、 最初のほうでご発言のとおり、OSやドライバに関しても適切なものを発見し、 組み合わせることがお客様にとって負担になっていることが想定されます。
それを解消するため、例えばElbertに対応したドライバ組み込み済みのAndroid や Linux を『プリインストール版』という状態で提供することについてはどのようにお考えでしょうか。

「そうですね。ドライバまでElbert+Sandgate4に対応したAndroidやLinuxを入れた状態での出荷は可能です。 そのようなお客様の要求があることまでは想定済みです。」

「その上でお客様が必要とされるセンサ類など、Sandgate4を拡張した形での提供におきましては、 必要な別のドライバを入れた状態で出荷することも想定しております。
つまり、必要なI/Oデバイスなどのハードウェアとともに、それを動作させるためのドライバを作成する、 いわば部分的な受託開発という形ですね。」

今回、ドータボートとしてElbertを出されたわけですが、ARMADA168以外、または100シリーズ以外のARMADAを出される可能性についてお教えください。

「100シリーズの別モデル、例えば、エントリークラスのARMADA162などのモデルを出す予定はありません。 理由はシンプルで小ロット生産のためのものではないため、このビジネスモデルに適さないからです。
可能性があるとしたら、ARMADA 600のように小~中ロット生産と出荷数量の両方が見込めるものになるでしょう。」

「もちろん、ハードウェア的には可能です。ただ、ビジネスとして成り立つのはある程度の数が見込めるようになってから、ということです。」

では最後に二つほど質問させていただいてもよろしいでしょうか。

  1. 競合他社は、DIMM形式のものをよく使われているように思います。このコネクタを利用した背景と、コネクタ名称をお教えください。
  2. 今回のElbertは ARMADA 168 の1066MHz ですが、カタログスペックではARMADA 168の動作周波数は最大1.2GHzとなっています。最大クロックにしなかった理由をお教えください。

「DIMMも考えましたが大きさや小型化、高さを押えるという意味でこのコネクタにしました。名前は……特にないのではないでしょうか。
あとは実際の最終製品にした際、DIMM形状でよくある問題として、振動や落下で微妙なズレが発生し、不具合につながるというものがあります。
このコネクタは単体でもカッチリとボードに固定できますが、前述のような問題にも備えて Elbert にはネジ穴も準備しています。」

「1066MHz なのは、非常にシンプルな理由です。現在出荷されている PXA168 は、実は1066MHz対応のものだからなのです。 あと、1066MHzにしておくと、DDR2が定格533MHz品になるというものもありますが、そのために周波数を下げたというわけではありません。」

了解いたしました。
本日はmonoclassフェローシップセミナーにお招きいただき、またインタビューさせていただきまことにありがとうございました。

以上


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